イノベーションへの扉

研究フロントライン

No.002

金属のように熱を通す絶縁体のゴムシートを開発

  • 材料・合成

  • 研究グループ

    東京大学大学院新領域創成科学研究科, 産業技術総合研究所

  • 記事掲載日

    2025年4月

概要

東京大学大学院新領域創成科学研究科 寺嶋・伊藤研究室と産業技術総合研究所 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリの共同研究において、水中プラズマ技術を用いて窒化ホウ素フィラーと環動高分子のポリロタキサンを複合化し、金属のように熱を通す絶縁体のゴムシートを開発しています。

この研究では、水中プラズマ技術で表面を改質したフィラーを高分子溶液に分散し、パルス交流電界をシート厚み方向に印加することでフィラーの配向度を高めたシートが成形されました。これにより、ゴムのように柔らかく、シート厚み方向の熱伝導率が金属並みに高い絶縁体のゴムシートを実現し、電子部品の放熱シートへの応用が期待されます。

これらの成果は記事下部にある2024年5月発表のプレスリリース【金属のように熱を通す絶縁体のゴムシートを開発 ― 様々な電子デバイスの放熱に役立つ やわらかな熱マネジメント材料の実現 ―】にて公開されています。またプレスリリース以降も、同グループの研究により①プロセス条件の最適化による熱物性値のさらなる向上、および、②新規プロセス開発による製造プロセスの高速化とスケールアップ、が達成されているそうです(2025年4月現在、特許申請、および、論文発表の準備中)。今後の研究の展開と発表に注目です。


※2025年3月に寺嶋和夫教授はご退官され、現在は東京大学大学院新領域創成科学研究科 伊藤研究室が研究を引き継いでいます。また一方、産総研の先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリも2025年3月末に終了し、本技術は産総研材料基盤研究部門に継承され、伊藤研究室との共同開発を継続しています。

研究詳細(プレスリリース本文)はこちら

東京大学大学院新領域創成科学研究科 https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/10946.html

国立研究開発法人産業技術総合研究所 https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240515/pr20240515.html

記:井上健一

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