プラズマ研究・開発に夢中な

活動中の研究者紹介

  • 半導体

  • 氏名

    蕭 世男(シャオ シーナン)

  • 所属

    名古屋大学 低温プラズマ科学研究センター 特任教授

プラズマクライオエッチング最前線で挑んでいる台湾人研究者

台湾出身のシャオ先生は2018年に名古屋大学低温プラズマ科学研究センターに着任し、プラズマクライオエッチングに関する研究に取り組んでいます。日本に来た時、日本語が話せず、プラズマエッチングに関する研究経験も全くありませんでした。しかし、様々な壁を越え、現在、クライオエッチング分野で新技術を開発して活躍しています。

専門分野

プラズマクライオエッチング

略歴

台湾出身。2010年米国アルゴンヌ国立研究所にて研究後、2011年博士(工学)取得。ポスドクとしてシンクロトロンX線技術の研究に従事し、その後産業界で表面処理技術に携わる。現在、名古屋大学低温プラズマ科学研究センター特任教授として半導体プロセスに関する研究を進めている。

趣味

夏:サイクリング、登山、 冬:スキー、スノーボード、 通年:サウナ、旅行

クライオエッチング(Plasma Cryo-ethcing)とは

半導体は微細化が進み、縦長の細かい構造(高アスペクト比)を作るために、もっと速い、もっと深いドライエッチング技術が欠かせないです。ドライエッチングとは、一般的に真空放電プラズマを用いて、材料の表面を削る技術です。その中でも、クライオエッチングという手法は、極低温の環境下で薄膜を削ることです。常温では起きないような物理化学反応が、低温では発生します。ただし、この反応がエッチングに良い影響を与えるかどうかは、プラズマが極低温で誘起する表面化学反応に左右されます。つまり、温度の違いと材料の特性によってエッチングが進みやすくなったり、逆に進みにくくなったりすることです。ドライエッチングにおいて、温度の制御は重要な選択肢の1つです。しかし、極低温でのエッチングがどのような表面で反応しているのか、詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。世界中の研究者たちがクライオエッチングの開発とメカニズムを解き明かすために活発に研究を進めています。

日本語を学ぶきっかけ

シャオ先生は台湾出身で、2018年に日本に来たところ、英語しか話せなかったです。最初の1年間にわたって会議に参加した時、すべての会話は日本語で進みました。会議後、他の先生から会議内容を英語で伝えていただきましたが、他人から情報を伝えると漏れる可能性があります。そして、他人と会話する時に聞き取れないと「失敗者」になると言いました。そのため、名古屋大学の言語教育センターで日本語を学び始めました。平日はセンターの秘書たちや先生たちと日本語で会話することができました。センターの方々のおかげで、日本語が話せるようになりました。シャオ先生にとって、一番重要なのは「コミュニケーション」です。現在、先生は日本語でプレゼンテーションすることもできます。

プライベートのお時間

仕事とプライベートの切り替えは難しいと感じるところが多いですが、気分転換として、運動をよくやっています。アウトドア派のシャオ先生は特に山に関係のあるスポーツを好み、夏と冬でそれぞれ違った楽しみ方をしています。夏はサイクリングが中心です。サイクリング好きな奥様と「サイクリングデート」をして、景色やグルメに出会えるように、毎年一週間のサイクリング旅を計画しています。冬はスキーに熱中して、スノーボードにも挑戦しています。ゲレンデやツリーランエリアでの爽快な滑りを楽しむだけでなく、シーズンごとに新しいスキルを磨きながら、滑る楽しみを広げています。

今後の目標

今後の目標は3つがあります。1つ目は現在シリコン材料に応用しているプラズマクライオエッチング技術を、シリコン以外の材料にも展開し、幅広い分野での活用できるようにすることです。2つ目はより広い視野と新たな発見を得るため、世界中の他分野の研究者と協力して、クライオエッチング技術を解明することを目指します。そして、趣味としてスノーボード指導員の資格を 取得することです。これらの目標は多くの人々に人生の楽しさを伝えられるようになりたいと思っています。

研究の道へ進んでいる若者たちへの言葉

研究の道に何が待っているか、実際に進んでみないと分かりません。そこには多くの分岐点や障害があって、失敗の数は数え切れないほどかもしれません。しかし、「すべての現象は必ず理由がある」という信念をもって前に進みましょう。探求の過程では、新しい知識や発見が得られて、それがいつの間にか成功への道に繋がっていると気づくはずです。

Motto

すべての現象は必ず理由がある

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