No.003
次世代パワーデバイスの量産・標準化を実現するp型層の形成(p-Ga2O3)に成功
半導体
名古屋大学低温プラズマ科学研究センターの清水 尚博 特任教授らの研究グループは、次世代パワー化合物半導体である酸化ガリウム(Ga2O3)において、Ni(ニッケル)をイオン注入した後、プラズマを用いたラジカル制御による二段階熱処理をすることにより酸化ガリウムの中にp型NiO層を形成できる技術を開発しました。
本新規技術を利用することにより、これまで困難であったp型半導体層を用いた酸化ガリウムのパワーデバイス注3)が低コストで容易に製造できるようになります。実際に本技術を用いてpnダイオードを試作し、従来法によるショットキーダイオードと比較して2倍の電流を得たほか、従来法よりも安定してダイオードができることを実証しました。この手法は、実用化を妨げていたp-Ga2O3を量産に資する技術で実現できており、パワーデバイス製造の標準化を達成できる革新的な成果です。
Naohiro Shimizu, Arun Kumar Dhasiyan, Osamu Oda, Nobuyuki Ikarashi, Masaru Hori “p-type Layer Formation Study for Ga2O3 by Employing Ni Ion Implantation with Two-step Oxygen Plasma and Thermal Annealing”
J. Appl. Phys. 138, 065701 (2025); doi: 10.1063/5.0282789